皆さん、『法定免除』という制度をご存知でしょうか。

日本では、国内に住む「20歳以上60歳未満」のすべての方が、年金に加入する義務があります。

そして、年金に加入すると年金保険料を支払い義務が発生します。

法定免除とは、この保険料支払い全額免除される制度です。

法定免除について、少し詳しくご説明しますので是非ご覧ください。

法定免除の対象者

下記項目に該当する方は届け出を行う事により、国民年金の保険料の納付が全額免除されます。

(※)本人が該当すれば、OKで、配偶者や世帯主の所得要件はありません。

それでは、どのような方が法定免除の対象となるのか見ていきましょう。

①障害年金1・2級を受けている方

病気やケガで日常生活に支障があるときに受けられる公的年金制度として「障害年金」があります。この障害年金の2級以上に該当している方は、法定免除の対象者です。

なお、一度、2級以上に該当していれば、その後、障害の程度が軽くなって2級以上に該当しなくなっても、3年間は法定免除に該当します。

【注意点】

  • 障害者手帳の等級とは違います、ので間違えないように注意してください。
  • 特別障害給付金は、含みません。

 

②生活保護を「生活扶助」を受けている方

生活保護(生活保護法による生活扶助)を受けている方も、法定免除の対象者とされ、免除申請を行うことで国民年金保険料の支払い義務が無くなります。

③指定された施設に入所している方

厚生労働大臣が指定する施設(ハンセン病療養所・保養所など)に住んでいる方も、対象です。

法定免除の届出をすると、国民年金の保険料支払いが不要となります。

 

法定免除するとどうなるの?【Q&A】

法定免除とは、「国民年金の保険料支払い義務が免除」される制度です。届出を行うと、どのような変化があるのか見ていきましょう。

【Q.1】月々の国民年金の保険料支払いは不要?

A.はい

これは何度も説明している通りです。現在の国民年金の保険料はひと月あたり16,410円です。(令和元年現在)

法定免除をすることで、月々16.410円を支払いが不要となります。

ただし注意点として『国民年金』の保険料が免除される制度であるため、法定免除の申請をしたからといって、その他の公的年金である厚生年金や共済年金等は免除されないことに気をつけましょう。

【Q.2】将来の年金額は減ってしまうの?

A.はい

法定免除の申請をすると、国民年金の保険料支払いが免除される一方、免除期間中に応じて将来受け取れる年金額が減額されます。

ただし免除期間中は『受け取れる年金額が0』という訳ではなく、満額納めたときの1/2を受け取ることが可能です。

【Q.3】法定免除をしたくない人もいるの?

A.います!

Q2 でご説明したように法定免除を行うと、将来貰える年金(老齢年金)が減額となります。満額貰いたいという方は、法定免除の届出せずにこれまで通り国民年金の保険料支払いをするという選択を取ることも出来ます。

【Q.4】扶養に入っていても法定免除は必要?

A.基本的には不要

法定免除は、国民年金の保険料支払いが免除される制度です。

家族等の扶養に入っている方は、そもそも保険料の支払い義務が生じていないため、あえて法定免除手続きをする必要はありません。

ただし、個々の事情があるかと思いますので、周囲とよく話合ったうえで届出するかどうかを決めてください。

【Q.5】厚生年金も法定免除はできる?

A.いいえ

法定免除とは、Q.1 でもご説明したように「国民年金」の保険料支払いが免除される制度です。

そのため上記の対象者に該当したからと言って、厚生年金や共済年金等の保険料の支払いが免除されることはありません。

なお、国民年金の主な加入者とは『学生・フリーター・自営業』などの方です。

【Q.6】法定「免除」と「未納」はどう違うの?

A.「未納」と「免除」は全く異なります。

免除は「年金保険料を支払う必要がありません」が、未納は支払い「義務があるのに支払っていない」状態です。ほかにも違いがありますので、下記の表をご覧ください。

『法定免除』期間中 『未納』期間中
国民年金の保険料の支払い義務 なし あり
受給資格期間へのカウント あり なし
将来の年金減額 1/2減額 10割減額

(受け取れない)

未納のままだとデメリットが多く、将来貰える年金額が減ることはもちろん、万一病気やケガなどで障害年金を貰いたい!というときにも請求出来ない…ということになりかねません。

(※)法定免除を受けた期間は、「保険料免除期間」として、基礎年金の受給資格期間に算入されます。

 

まとめ

法定免除は、法律で認められらた『年金保険料の支払い義務が免除』される制度です。

月々の支払いが不要な分、経済的な負担が軽減される一方、将来受け取る年金額にも影響してきます。

その為、上記要件に該当する方はお近くの年金事務所でよく相談したうえ、法定免除の届け出を行うようにしましょう!

 

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