人工関節・人工骨頭の障害年金申請で「よくある3つの誤解」

[記事公開日]2015/11/25
[最終更新日]2018/05/16

人工関節の障害年金申請人工関節や人工骨頭で障害年金の申請をご検討されている方からご相談を頂く際に、ご自身で調べられてから相談に来られた方で、同じ点で誤解をされている方がたくさんいらっしゃいます。

人工関節や人工骨頭での障害年金認定は少し複雑なところがございますので、本来は支給される可能性があるのに、ご自身で調べられて受給が出来ないと誤解をされて、申請をしていなかったというケースも見受けられます。

今回は「人工関節・人工骨頭で障害年金を申請」する際に、よくある3つの誤解をご紹介したいと思います。

 

人工関節・人工骨頭の障害認定基準とは

障害年金には、障害の程度に応じて、1級、2級、3級といった等級と呼ばれるものがあり、その等級を決める基準を「障害認定基準」と言います。

平成27年6月改正障害認定基準

その障害認定基準の中で、原則として人工関節は等級3級とされています。

コ 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものについては、次により取り扱う。

(ア)一上肢の3大関節1 関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものや両上肢の 3 大関節中 1 関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは 3 級と認定する。

ただし、そう入置換してもなお、一上肢については「一上肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するとき、両上肢については「両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するときは、さらに上位等級に認定する。

(イ)障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節をそう入置換した日(初診日から起算して 1 年 6 月以内の日に限る。)とする。

※2015年6月改正 障害認定基準 18ページより

よくある誤解1 初診日に厚生年金に加入していなければ受給出来ない

 

人工関節障害年金誤解1「あなたは初診日に厚生年金ではないので、人工関節では障害年金の受給はできませんよ」と、ある社労士の先生に言われたというご相談者の方がいらっしゃいました。

しかし、初診日に加入していたのが国民年金だからといって、人工関節では100%受給出来ないということではありません。

障害年金は症状別に細かく規定がありますので、障害年金を専門にされていない場合は、社労士であっても細かい点で誤解をされている場合もございます

以下、なぜそのような誤解をされているのかと、どのような場合に初診日に国民年金に加入していても受給できるのかを見ていきたいと思います。

A子さん
そもそも初診日とは何ですか?

年子先生
初診日とはその病気で初めて病院で診療を受けた日を初診日というの。初診日の考え方はとても大切なので「障害年金の初診日について詳しく解説します」を参考にしてください。

国民年金と厚生年金の受給条件

そもそも、なぜ「初診日が厚生年金だと受給が出来て、国民年金だと受給が出来ない」と言われるのでしょうか?

それは、国民年金として支給される障害基礎年金と、厚生年金として支給される障害厚生年金では受給要件が異なっているからなのです。

障害基礎年金(国民年金)は障害認定基準で1級と2級の方が支給対象になり、障害厚生(共済)年金の場合は1級と2級に加えて3級の方も支給対象となります。つまり障害基礎年金(国民年金)では3級の方は受給できないのです。

前述しました通り、人工関節は原則として3級と定められています。

この原則を見て「障害基礎年金(国民年金)は人工関節では受給出来ない」と勘違いをされる方が多いのではないかと思います。

初診日が国民年金でも障害基礎年金を受給出来るケース

初診日に加入していた制度が国民年金の場合、全ての人工関節・人工骨頭の方が受給出来ないかといいますと、そうではありません。

障害認定基準 国年令別表では障害年金2級の基準として「日常生活が著しく制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものに該当」と明記されています。

※2015年6月改正 障害認定基準 国年令別表 5ページより

つまり、日常生活が著しく制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものに該当すれば、初診日に厚生年金ではなく、国民年金でも受給することができるという事になります!

例えば、両脚に人工関節を挿入置換されて日常生活に著しい制限を受けると判断され、2級に認定されたケースもあります。

このような規定を知らずに、申請を諦めていた方は、是非お近くの障害年金を専門にしている社労士に相談されることをお勧めします。

A子さん
初診日が国民年金でも症状が重度なら障害年金の可能性があるんですね!

 

よくある誤解2 身体障害者手帳が○級だから受給できない

人工関節障害年金誤解2障害年金とよく混同されるものとして障害者手帳というものがあります。

平成26年3月までは人工関節を入れた場合、部位により、4~5級の手帳が交付されていましたが現在では術後の状況により判断される事となりました。

そのため、「主治医より『あなたの状況では障害者手帳は取れません!』と言われた。」といった方や、「身体障害者手帳が6級なので障害年金は受給出来ないですよね?」というご相談を頂くことが多く有ります。

しかし身体障害者手帳と障害年金では認定基準が全く異なります!

障害者手帳に6級と認定されたり、申請をしたけど落ちた場合であっても、障害年金が受給できる可能性はございます。

こちらもご自身で判断をされずに、専門の社労士に相談されることをおすすめします。

A子さん
ホントですね!身体障害者手帳の「身体障害者障害程度等級表」と見比べると基準が全然違いますね!
年子先生
手帳と診断書のより詳しい内容は「障害年金と障害者手帳と無関係って本当?」を参考にしてください。

よくある誤解3 初診日から1年半経たないと手続きができない

初診日から1年6カ月を経過した日を障害認定日といいます。

原則として障害年金の請求は障害認定日以降でなければ出来ないとされています。

そのため「初診日から1年6ヶ月経過しなければ障害年金が請求出来ない」と勘違いされている方も多いと思います。

実はココが勘違い!

人工関節や人工骨頭の障害認定日については次のような例外的な取り扱いが認められています!

障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節をそう入置換した日(初診日から起算して 1 年 6 月を超える場合を除く。)とする。

つまり、1年6カ月以内に手術を行った場合は、手術日が認定日となり、原則的な1年6カ月を待たなくても障害年金の取り扱いが出来るという事なのです!

年子先生
誤解が多い箇所なのでイラストを使って説明しますね♪

初診日から1年6か月以内に人工関節を挿入置換したケース

このように初診日から1年6カ月以内に人工関節や人工骨頭の置換術を行った場合は、手術日が障害認定日になります。

そのため手術を行った後であれば、いつでも障害年金の請求が可能となります。

「知らなかった」「貰い忘れていた」といった場合でも障害認定日の翌月まで遡って障害厚生年金3級が受給できますのでご安心ください。

ただし、年金は時効が5年と定められています。

手術日から5年以上経過している場合は、1か月請求が遅れるごとに過去の1か月分ずつ年金を捨てている事になるため、少しでも受給ロスを防ぐためにも1日も早い請求をオススメします。

A子さん
えっ!?5年分の遡りってスゴイですね!!!
年子先生
そうだね!障害厚生年金3級の場合、約58万円が年間の最低保証と決められているので5年分だと、300万円近い金額になるの。

初診日から1年6か月経過後に人工関節を挿入置換したケース

このように初診日から1年6カ月以降に人工関節や人工骨頭の挿入置換術を行った場合は原則的なパターンとなります。

障害認定日の時点において関節可動域や筋力に著しい問題がない限りは、手術日以降でなければ障害年金を受給することは出来ません。

また、このパターンで請求月の翌月分からの受給となります。

提出が遅れると、その分だけ本来受けられるはずだった障害年金を捨ててしまう事となりますのでご注意ください。

年子先生
このパターンだと過去への遡りが出来ないので、いかにスピーディーに手続きが出来るかがポイントです。手術前から準備をしておくとロスが最小限にできますね!

人工関節の障害年金申請事例

年金事務所や社労士に「あなたの状態では障害年金は無理」と言われた方々でも以下のように認定を得ることができました!

センターが今まで申請してきました人工関節の方の障害年金申請の実例をご紹介しながら、「人工関節の障害年金申請のポイント」をご説明したいと思います。

【事例1】左変形性膝関節症に伴う人工関節

  • 51歳 女性
  • 既往歴:先天性右股関節脱臼
  • 人工膝関節の挿入置換
  • 重い物は持てない
  • 長距離の歩行は不可
  • 左右ともにロフストランド杖が必須

 

手術日の翌月まで遡り障害厚生年金3級

10歳頃に先天性右股関節脱臼に対して手術を行い、その後は46歳まで杖無しで元気に生活していらっしゃいました。

46歳の頃(平成22年/厚生年金加入中)に左の膝に痛みが有り、当初は薬局で市販されているシップで凌いでいたものの日を追うごとに痛みが増した為、整形外科を受診。

その結果、左変形性膝関節症と診断され初診から3カ月後に人工膝関節への置換術を行われました。

その後、リハビリを実施したのですが、術前程は改善されず、左右ともにロフストランド杖が必須という状態になってしまいました。

平成25年に障害年金について知り、最寄の年金事務所にて相談に行かれたところ、「先天性股関節脱臼が原因の為、障害基礎年金としての扱いとなるので受給できない」との回答を受け諦めていました。

その後、年を追うごとに症状は悪化し仕事の継続も難しくなられ、WEBで当センターのホームページを見つけられて相談に来られました。

今回のケースでは先天性である右側の股関節脱臼と平成22年手術の左側の変形性膝関節症の間に相当因果関係があるかという点が問題と考えました。

障害年金でいう相当因果関係とは「Aの傷病又は負傷が無ければBの疾病は無かった」という関係をいいます。

準備段階において複数回に渡り主治医も含めて打ち合わせを行いながら、診断書を作成して頂き申請書類を整えました。

申請(提出)の際には年金事務所の窓口にて以前と同様の理由で受付を渋られたものの、丁寧に説得し無事に受付をしてもらいその後、手術日の翌月まで遡り障害厚生年金3級の認定となりました。

 

【事例2】両変形性股関節症に伴う両人工股関節

  • 60歳 女性
  • 両人工股関節の挿入置換
  • 支えにより立ち上がる事が何とか
  • 歩行は歩行器が必須

 

額改定請求により障害厚生年金2級

49歳頃(平成16年/厚生年金加入中)まで営業職として就労していたところ、左足がそれまでに比べて上がりにくいといった股関節の可動域に違和感を感じるようになられました。

当初は気にされていなかったのですが、徐々に痛みを伴うようになった為、近くのA内科を受診したところ、すぐに大病院のB整形外科へ行くように紹介されました。

B整形外科では「左変形性股関節症」と診断され50歳(平成17年)で左人工股関節への置換術を行いました。

術後はリハビリの成果もあり発病前程度まで動けるようになられて、主治医からの勧めにより障害厚生年金3級を受給していました。

55歳(平成22年)頃より左足に痛みを感じるようになりB整形外科へ定期通院を開始しました。そのうち右股関節にも痛みが現れ58歳(平成25年)で右人工股関節への置換術を行いました。

その後、リハビリを行うものの、以前のように動く事は出来ず、立ち上がる際には支えが必須となり、歩行には歩行器が必須となりました。

旦那様が、「これらの状態は障害厚生年金2級に相当するのではないか」と思われ、インターネットで専門家に相談されたところ、「人工関節では3級が限度」との回答を受け障害年金の額改定は諦められていました。

その他の公的制度を探している際に当事務所にご連絡を頂き、無料出張面談にて、これまでの経緯と症状をヒアリングさせて頂きました。

確かに人工関節は原則的には3級と認定されます。

しかし、両足にそれぞれ人工股関節が挿入されており、診断書の日常生活動作の程度の判定においても「一人で全くできない」又は「一人でできるが非常に不自由な場合」に相当すると考えられた場合は2級の認定がされる場合があります

ご相談者様の症状は十分に2級に該当すると考えられた為、額改定請求を行ったところ無事に障害厚生年金2級として認定されました。

また、その他の公的制度として重度障がい者医療費助成制度をご案内し、その後、障害者手帳の等級改定にも成功され、無事に医療費助成制度を活用する事が出来たとのご連絡を頂きました。

年子先生
日常生活動作の程度とは次のような項目で審査されます。

□片足で立つ

□屋内を歩く

□屋外を歩く

□立ち上がる

□階段を上る

□階段を下りる

【事例3】変形性股関節症に伴う人工関節

  • 35歳 女性
  • 既往歴:先天性股関節脱臼
  • 右人工股関節の挿入置換

 

障害厚生年金3級

幼少時に先天性股関節脱臼に対して手術をされていました。。

その後、何ら不自由なく生活および就労されていたのですが、34歳(平成26年)の時に右股関節の可動域に違和感を感じ始めました。

それに加えて平成27年からは痛みも現れた為、A病院を受診したところ、変形性股関節症と診断されました。

人工関節への置換術が必要だった為、手術設備の整ったB整形外科を紹介され受診。手術後、リハビリ中に障害年金の存在を知られ当センターへご相談を頂くことになりました。

今回のケースで注意しなければならないのは、既往歴として先天性股関節脱臼の存在です。

人工関節は原則として3級認定である為、先天性として認定された場合は障害基礎年金(1~2級)となり不支給となってしまいます。

しかし原因が先天的な股関節脱臼であっても、完全脱臼のままで生育した場合を除き、厚生年金加入中に初診日がある場合は障害厚生年金として請求することができます

これらの点に注意して書類の準備を進め申請を行ったところ、障害厚生年金3級として認定されました。

年金事務所や社会保険労務士であっても「先天性股関節脱臼があるケースでは人工関節での障害年金は不可」と案内しているケースが多いのですが、病歴就労状況等申立書にしっかりと必要事項を記載することにより先天性股関節脱臼があっても障害厚生年金3級を獲得できるという良い事例となりました。

障害年金の申請の流れ

障害年金を申請するには、多くの作業があります。
大きな流れとしては以下のとおりです。

年子先生
申請までの流れをさらに詳しく知りたい方は、こちらの『障害年金の申請までの流れ』をご覧ください!

よくある質問

当事務所によせられる人工関節や人工骨頭に関する質問につきましてご紹介します。

Q.障害年金の受給額を教えてください

障害厚生年金の場合、ご相談者様の年金の納付記録により異なりますが人工関節・骨頭による障害年金の場合は年間約60~70万円程度となるケースが一般的です。

最大の5年分の遡りが認められた場合には約350万円(60~70万円/年×5年)といった大きな金額が受給できる可能性もございます。

Q.障害年金は一生もらえますか?

人工関節や人工骨頭の手術を行った場合は、元の自分の骨に戻ることは無いので、更新の必要が無い永久認定として認められるケースが多いです。

しかし、最近は期間が定められた更新が必要な有期認定とされるケースが増えているようです。
更新時には「障害状態確認届」という診断書が届きますので指定された期間内に提出を行うようにしましょう!

Q.障害年金の申請は住民票住所地が管轄ですか?

特に決まりはございませんので、都合の良い年金事務所に提出が可能です。

Q.就労と障害年金の関係を教えてください

人工関節や人工骨頭による障害年金は就労とは関係ございません。

そのため、働いていても受給の可能性がございますので「もしかして自分も?」と感じたら専門家へとご相談をオススメします。

Q.遠方ですがサポートは可能ですか?

もちろん対応可能となります!
当事務所では各障害に合わせたサポートを大切にしております。
webを用いたオンライン面談により全国幅広く対応しております。

□遠隔地だけど相談したい
□家から出られないけど相談に乗ってほしい
□時間調整が難しい

などなど、当てはまる方がおられましたらお気軽にお問合せください。

年子先生
遠隔対応は『人工関節・骨頭の障害年金オンラインサポート』をご覧ください。

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

障害年金の受給に関しては今回お話しましたような細かい決め事がありますので、専門家以外の方がご自身の判断で受給の可否を決められると、誤った判断をされる危険もあります。

本来であれば受給出来るものを、ご自身の誤ったご判断で受給せずに過ごされている方もいらっしゃいます。

障害年金は基準が複雑で、ときに曖昧に規定されている部分もありますので、受給・申請に関して不明な点がある場合は専門の社労士にご相談されるのが良いかと思います。

 

もちろん当センターでも無料相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

 

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