「人工透析」で障害年金を受給するポイントを全解説します!

[記事公開日]2015/12/04
[最終更新日]2017/12/27

人工透析障害年金申請

人工透析や腎不全などの腎臓疾患の場合でも障害年金の受給が可能です

ただ、人工透析・腎不全には「発病しても急激に悪化しない」「初期の症状がわかりにくい」という特徴があります。

この特徴により、いざ申請しようと考えても、「病院に当時のカルテが無い」「初診の病院がわからない」など疑問がたくさんが出てきてしまいます。

今回はこのような疑問を解決するために人工透析・腎臓疾患で障害年金を受給するための基準はもちろん、

・どのような壁があるのか?
・どういった点に注意すればよいのか?

申請の際の壁・ポイントも詳しくご説明したいと思います。

 

初診日の壁

【ケース1】 初診証明がとれない

初診証明このケースがもっとも多くご相談いただきます。

腎臓疾患の特徴としては、初診日の時点では症状が軽度であり、その後長い時間をかけて徐々に症状が悪化する事が多く、以下のような理由で初診証明が取れないケースがあります。

  • 病院がすでにつぶれてしまっている
  • 通院したのがかなり前なので、カルテが破棄されている

そうなると障害年金の申請に必要な「受診状況等証明書(初診の証明)」の取得が出来なくなってしまいます。

多くの方がここで申請を諦めてしまいますが、このような場合でも申請する方法がきちんと用意されています。

それが「受診状況等証明書が添付出来ない申立書」です。

この申立書では「なぜ初診が証明出来ないのか」を参考資料と共に申し立てることにより、病院が廃院していてもカルテが残っていなくても申請することが可能となります。

※参考資料:受診状況等証明書が添付出来ない申立書のダウンロード
※参考記事:えっ!?提出したのに不支給?「受診状況等証明書が添付できない申立書」って一体、何?

 

【ケース2】 どの病院が初診かわからない。

人工透析や腎不全等の腎臓疾患で治療されている方の中には自覚症状が現れて初めて病院に行ったところ、腎臓の病気と判明するケースが多く見られます。

その自覚症状は人により様々で、いろいろな症状として現れます。

  • 足のむくみが異常だった為、近所のクリニックへ行った
  • 尿が近くなり不安になって泌尿器科へ行った
  • 眼のかすみが気になったため眼科へ行った
  • 体がだるく疲労が回復しない為、うつと思い心療内科へ行った

結果的にすべて腎臓疾患などによる初期の症状例であり、上記の各病院が初診となりますが人によっては腎臓疾患で障害年金を請求するのだから、治療を開始した病気が初診だろうと考えられる方も多いと思います。

しかし、障害年金上での初診日とは症状を自覚して初めて医師の診療を受けた日とされている事から直接腎臓の治療を行う病院でないとしても
上記の例でいえばクリニック、泌尿器科、眼科、診療内科のいずれも初診となります。

初診日を間違えて申請すると、決定までに長く時間が掛かってしまったり、必要以上の医証が必要となり、都度書類代金が必要となってしまうケースも珍しくありません。

そうなる前に、きちんと通院記録を整理した上で、どの病院が初診にあたるのか検討したうえで準備に取り掛かりましょう!

 

申請時のポイント

初診日に関するアンケート

腎臓・膀胱の病気の場合、初診日に関するアンケートの提出が必要となります。
内容としては次のような内容となります。

  • 体の不調やむくみはいつからですか?
  • 健康診断などで尿蛋白を指摘されたことはありますか?
  • 健康診断で指摘を受けた場合はすぐに病院へ行きましたか?

年金事務所で「アンケートもお願いします」と伝えられる事もあり、「アンケート」という事からノリなどの軽い気持ちで記載してしまう方が多いようですが、この書類も障害年金の審査の参考とされるため、診断書や病歴就労状況等申立書などのその他の書類との食い違いが無いように作成する事が重要となります!

もし矛盾が有る場合には提出後に照会が入り追加の資料が必要となるケースや、これが元で審査に落ちるといった事も多くみられる為、アンケートの記載にも慎重さが必要となります!

※参考資料:腎臓疾患用のアンケートを見る

 

障害の程度を認定する時期(障害認定日)

入院
原則的には初診日から起算して1年6カ月を経過した日が障害の程度を認定する時期(障害認定日)とされています。

ただし、人工透析療法施行中の場合の障害の程度を認定する時期(障害認定日)は人工透析療法を初めて受けた日から起算して3カ月を経過した日(初診日から起算して1年6カ月を超える場合を除く。)とされています。※障害認定日の特例

よくある誤解として、「人工透析を始めたけど、まだ3カ月を経過していないから申請はしていません。」というものがあります。初診日から1年6カ月以内の方はそうなりますが、既に1年6カ月を経過している方の場合は、すぐにでも申請が出来ますのでご注意ください。

 

その他

①糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を含む)、腎硬化症、発性嚢胞腎、腎盂腎炎に罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係があるものと認められます。

②腎疾患は、その原因疾患が多岐にわたり、それによって生じる臨床所見、検査所見も、また様々なので、検査成績によるほか、合併症の有無とその程度、他の一般検査及び特殊検査の検査成績、治療及び病状の経過等も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して総合的に認定されます。

③腎臓移植を行った場合の取扱いについて

  • 腎臓移植を受けたものに係る障害認定は、手術後の症状、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定されます。
  • 既に障害年金を受給されている方が腎臓移植を受けた場合は、術後1年間は等級は変更されず術前の等級とされます。(臓器が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮しての取り扱い)

 

障害等級の認定基準

1級
慢性腎不全の検査成績で検査数値が以下①~②のいずれかに該当するもので、なおかつ、身のまわりのことが出来ず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるもの。①内因性クレアチニンクリアランス値が10ml/分未満
②血清クレアチニン濃度が8mg/dl以上
2級
人工透析療法施行中のもの又は慢性腎不全の検査成績で検査数値が以下①~②のいずれにもに該当するもの又は、①~②のいずれかが高度異常に該当する場合。①内因性クレアチニンクリアランス値が10ml/分以上20ml/分未満(高度異常:10ml/分未満)
②血清クレアチニン濃度が5mg/dl以上8mg/dl未満(高度異常:8mg/dl以上)なおかつ、一般状態が、次のABのいずれかに該当するもの。A.歩行や身のまわりのことは出来るが、時に少し介助が必要で、軽労働は出来ないが、日中の50%以上は起居しているもの
B.身のまわりのある程度のことは出来るが、しばしば介助が必要で日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出などがほぼ不可能となったもの
3級
【慢性腎不全】
慢性腎不全の検査成績で検査数値が以下の①~②のいずれかに該当するもので、なおかつ一般状態が以下A~Bのいずれかに該当するもの。①内因性クレアチニンクリアランス値が30ml/分未満
②血清クレアチニン濃度が3mg/dl以上【ネフローゼ症候群】
ネフローゼ症候群検査成績で検査数値で尿蛋白量(1日尿蛋白量又は尿蛋白/尿クレアチニン比)が3.5g/日以上を持続するもので、なおかつ血清アルブミンが3.0g/dl以下又は血清総蛋白6.0g/dl以下の状態で一般状態がA~Bのいずれかに該当するもの。【一般状態】
A.軽度の症状が有り、肉体労働は制限を受けるが、歩行・軽労働・軽い家事・事務などは出来るもの。例えば軽い家事、事務など
B.歩行や身のまわりのことは出来るが、時に少し介助が必要で、軽労働は出来ないが、日中の50%以上は起居しているもの

 

腎臓疾患、人工透析でのよくある質問

健康診断と初診日の関係を教えてください。

従来であれば健康診断にて要再検査などの通知を受けた場合は、その健康診断を受けた日が初診日とされていましたが平成27年10月より、初診日の取り扱いが改正され、原則として健康診断を受けた日は初診日とされないこととされました。

※参考記事:健康診断日の取り扱いについて

 

人工透析療法を施行中ですが、就労している場合は障害年金は受給出来ませんか?

勘違いされている方がとても多いのですが、人工透析を行っている場合は障害等級2級に該当し、就労をしている場合であっても受給することができます。
※うつ病などの精神の障害については就労の可否が重要な判断基準となります。

特に人工透析を行っている方は就労できる時間が制限されてしまう方が多く、所得補償の役割としても障害年金の役割は重要です。

 

人工透析を行っています。主治医からは相当悪いと言われていますが、1級となる事はないでしょうか?

障害認定基準によると人工透析療法施行中のものは、原則2級該当と定められています。ただし、その腎疾患の主要症状や検査成績などによっては1級該当となるケースもあります。

 

検査結果が毎回変動します。診断書の元となる検査の時が、たまたま良い結果だとどうしたらよいですか?

腎臓疾患での検査の結果は、その病気の性質上変動しやすいというのを考慮して、腎疾患の経過中において最も適切に症状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて認定が行われるものとされています。

 

初診日が厚生年金だった場合は障害手当金の可能性もありますか?

障害手当金の要件としては、障害年金の請求日において治った(症状固定)ことが必要となります。腎臓疾患のような 内科的疾患でのケースは「治った(症状固定)」とされる事が無い為、障害手当金は支給されません。
※参考記事:障害手当金とは?

 

腎臓移植を受けると障害年金は停止となりますか?

腎臓移植後の予後観察期間は2年間とされており、移植手術後少なくとも1年はこれまでの等級とされる為、腎臓移植後すぐに停止とはなりません。
そのうえで、予後観察期間後の再認定の際に提出する診断書の内容により、審査されることとなります。

 

血液浄化療法の違いにより認定に差はありますか?

人工透析には主に①血液透析、②腹膜透析、③透析濾過の3分類に分けられます。
いずれの方法であっても障害年金は原則として2級として認定されます。

 

人工透析・腎臓疾患の障害年金申請実績

それでは、当センターが今まで申請してきました人工透析やその他の腎臓疾患の方の障害年金申請の実例をご紹介しながら、「人工透析・腎臓疾患の障害年金申請のポイント」をご説明したいと思います。

 

事例1 急性膵炎による慢性腎不全

入院平成20年頃から背中に痛みを感じ、大学病院にて検査を受けたところ、急性膵炎と診断されました。治療に専念する為、会社を退職し傷病手当金を受給しながら入院と通院で治療を行ったところ約1年で症状は改善したとの事です。
※参考記事:傷病手当金とは?

その後、約2年間は元気に自営業として仕事をしていたのですが、平成23年に熱っぽい、倦怠感、食欲不振といった症状から風邪と思い近所のクリニックを受診したところ、すぐに大きな病院を紹介されその後、慢性腎不全(糖尿病性腎症)として人工透析治療の開始となりました。

平成25年に、人工透析についてインターネットで調べていた時にたまたま、障害年金について知り、当事務所への相談となりました。

今回のケースで重要となるのは初診日の特定でした。何故なら平成20年と平成23年のどちらを初診と考えるかにより、受給額が大きく変わってしまうからです。

 

    • 平成20年 急性膵炎が初診の場合 ⇒ 障害厚生年金
    • 平成23年 慢性腎不全が初診の場合 ⇒ 障害基礎年金

 

このケースの場合、急性膵炎と慢性腎不全(糖尿病性腎症)の相当因果関係が認められれば障害厚生年金として受給することができます。

相当因果関係とは「Aの傷病又は負傷が無ければBの疾病は無かった」という関係をいい、急性膵炎が無ければ慢性腎不全(糖尿病性腎症)も無かったという事を証明すれば良いという事になります。

主治医と面談を行い意見を聞かせて頂いたところ、主治医の意見としても急性膵炎と慢性腎不全(糖尿病性腎症)の間には相当因果関係が有るとの考えだった為、診断書においてその旨を明確に記載頂きました。

また、審査に重要となる病歴就労状況等申立書においても平成23年からではなく平成20年の自覚症状を感じた所から今に至るまでの様子が分かるように注意して各種書類を作成したところ、無事に障害厚生年金2級で認定されました。

事例2 慢性腎炎による慢性腎不全

病名 慢性腎不全
年齢 57歳
性別 男性
原因 慢性腎炎によるもの
障害の状態 ○むくみ、食欲低下、吐き気、倦怠感
○週に2~3回の人工透析
申請結果 申請した月から障害年金受給(2級認定)

 

慢性腎不全の発病の経緯(慢性腎炎による慢性腎不全)

日常的に、めまい、肩こり、むくみ、頭痛、倦怠感を感じていた。
朝、出かける際に、靴がきつくて、履きづらくなるなどの症状が続いたため、念のため、近所の病院を受診。
検査の結果、慢性腎炎であることが判明。

その後、治療のため通院していたが、除々に腎機能が低下していき、55歳のときに腎不全の状態となり
週2~3回のペースで人工透析を開始する。

 

事例3 ネフローゼ症候群による慢性腎不全

病名 慢性腎不全
年齢 40歳
性別 女性
原因 ネフローゼ症候群によるもの
障害の状態 ○全身の倦怠感とむくみ
○ネフローゼ症候群による慢性腎不全
○人工透析を週2~3回
申請結果 申請した月から障害年金受給(2級認定)

 

慢性腎不全の発病の経緯(ネフローゼ症候群による慢性腎不全)

全身の倦怠感やむくみ、食欲不振などの症状が続いたため、病院を受診したところ、ネフローゼ症候群であることが判り、食事療法、薬物療法により、その後の病状は良好だった。

しかし、39歳の時に、全身の激しいむくみと肺水腫による呼吸困難の症状に襲われる。
ネフローゼ症候群が進行し、その後、慢性腎不全を発症し、人工透析となる。

現在も、週に2~3回の人工透析を続けている。

 

事例4 慢性糸球体腎炎による慢性腎不全

病名 慢性腎不全
年齢 53歳
性別 男性
原因 慢性糸球体腎炎によるもの
障害の状態 ○倦怠感、脱力感、集中力の低下や夜間多尿
○週に2回の人工透析
申請結果 2年間さかのぼって障害年金を受給(2級認定)

 

慢性腎不全の発病の経緯(慢性糸球体腎炎による慢性腎不全)

自覚症状はなく、会社の健康診断で慢性糸球体腎炎を患っていることが判明。

その時にはすでに倦怠感、脱力感、集中力の低下や夜間多尿といった症状が出ており、腎機能もかなり低下していた。

その後、食事療法、薬物療法にて治療を行うも、病気が進行し、慢性腎不全に移行し人工透析となる。

現在、週3回のペースで人工透析を行っている。

軽作業ならば労働は可能。

今後はこの状態が続き、良くなる見込みはない。

 

人工透析での障害年金申請アンケート

当センターで申請をさせて頂いた広島県のSI様から頂きましたアンケート結果をご紹介します。

慢性腎不全(人工透析) / 広島県福山市 / 男性 / SI様

アンケート原文

アンケート

アンケート内容

性別を教えてください

男性

年齢を教えてください

50代

どちらにお住まいですか?

広島県福山市

障害年金については以前からご存知でしたか

いいえ

当センターにご連絡を頂いたキッカケをおしえてください

役所に相談に行ったのですが、何を言っているのか分からなかったので、インターネットで検索した際に一番上に表示されていた為、専門家に相談しようと思いました。

当センターについてのご感想をお聞かせください(チェックボックス)

満足

当センターに対するご感想をお聞かせください

一つ一つ丁寧な説明をありがとうございました。

また、平日は仕事と透析で時間が取れない為、休日対応や夜間対応はとても助かりました。

まとめ

人工関節での障害年金申請

いかがでしたでしょうか。

腎臓疾患や人工透析での障害年金の申請では、病気の特徴を押さえていなかったり、障害年金の制度を十分に把握していない事が原因で本来受給出来るはずにも関わらず、受給出来なかったり、低い等級として認定されている方が多くいらっしゃいます。

障害年金の受給に関しては今回お話しましたような細かい決め事がありますので、専門家以外の方がご自身の判断で受給の可否を決められると、誤った判断をされる危険もあります。

障害年金は基準が複雑で、ときに曖昧に規定されている部分もありますので、受給・申請に関して不明な点がある場合は専門の社労士にご相談されるのが良いかと思います。

 

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その他

日本年金機構からのお知らせ(2016.1)

人工透析を行っている方に対して、平成14年4月からは原則として2級として障害認定となりますが一部誤って3級としている事案が判明しました。
該当する方はお近くの年金事務所へご相談ください。

参考:人工透析を行っている方へ(日本年金機構)

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