『年金請求書』は、障害年金を請求するために必ず必要となります。
今回はこれでわかる年金請求書の書き方をご紹介いたします。
年金請求書(P.1)の書き方
「A」個人番号・基礎年金番号(※)
「あなた」の個人番号(または基礎年金番号)を書きます。配偶者がいる場合は「②配偶者」欄も必須項目になります。
■ 基礎年金番号
- 年金手帳やねんきん定期便、その他日本年金機構からの書類にて確認できます。
これらの書類が無いという方もご安心ください。年金事務所などで年金手帳の再発行を行うことで確かめることができます。
■ 個人番号
- 個人番号とはマイナンバーとことです。
基礎年金番号に代わりにマイナンバーを書くこともできます。お手元にある通知カードをみて記入してください。
「B」生年月日(※)
生年月日は1桁の場合でも「0」をつける必要があります。
たとえば「昭和63年1月8日うまれ」の方は、630108と記入します。
「C」氏名・性別(※)
あなたの氏名を書きます。フリガナをつけましょう。
「D」住所・電話番号(※)
■ 住所
- 住民票と同じ住所を書きます。フリガナも必ず書きましょう。
また都道府県名は記入する必要はありませんが、「市」「特別区(東京23区)」「群」から記入することは義務付けられています。
実際の居所と住民票上の住所が違う場合も、住民票上の住所を記入しましょう。
■ 電話番号
- 日中に繋がり易い連絡先を書いておきましょう。
「E」受取機関(※)
障害年金は銀行振り込みです。そのため振り込んで欲しい金融機関の情報を書きましょう。
「ゆうちょ」と「その他金融機関」では、記入欄が異なるため注意してください。
■ ネット銀行の場合
- 年金受取機関は、ネット銀行でも構いません。ネット銀行の口座番号などを書きましょう。
「F」配偶者の加算
配偶者がいる場合は、必須項目となります。
「G」子の加算
原則18歳以下の子がいる場合(20歳未満の障害をお持ちの子も含みます)は、必須となります。
(※)満18歳になってから最初に迎える3/31までは、加算対象に含まれます。
お子様の氏名・生年月日・障害の有無を書いてください。抜けがちですが、フリガナも必須のため必ず記入してください。
年金請求書(P.3)の書き方
「H」配偶者が公的年金制度等か年金を受けているか
配偶者がいる場合は、必須項目です。当てはまるものを〇で囲みましょう。
(※) 配偶者が「老齢年金・退職年金・障害年金」を請求中の方は、「4.請求中」に〇をして横欄に詳しい情報を書きます。
■ 1.2.受けているに〇した
H欄で「1.老齢・退職の年金を受けている」または「2.障害の年金を受けている」に〇をした方は、必須項目です。
年金証書などを見ながら書くのが良いですね!
「J」あなたが公的年金制度等か年金を受けているか(※)
ご自分の現在の状況について、下記3つのうち当てはまるものに○囲みをします。
- ご自分が公的年金を受けている方は「1.受けている」に○印をします。
- ご自分が公的年金を受けていない方は「2.受けてない」に○印をします。
- 現在、請求中の方は「3.請求中」に○印をします。
■ 1.受けている
詳しい情報を記入する必要があります。書くときは年金証書などを見ながら書くのが良いですね!
【注】 下記の年金制度から現在年金を受け取っている方が該当します。
ア | 国民年金 | キ | 廃止前の農林漁業団体職員共済組合 |
---|---|---|---|
イ | 厚生年金保険 | ク | 恩給 |
ウ | 船員保険 | ケ | 地方公務員の退職年金に関する条例 |
エ | 国家公務員共済組合(JT、JR、NTTも含みます!) | コ | 日本製鉄八幡共済組合 |
オ | 地方公務員等共済組合 | サ | 改正前の執行官附則第13条 |
カ | 私立学校教職員共済 | シ | 旧令による共済組合等からの年金受給者の為の特別措置 |
ス | 戦傷病者戦没者遺族等援護法 |
■ 2.受けていない
記入する必要はありません。空欄のままでOKです。
■ 3.請求中
「L」加入したことのある年金制度(※)
これまで『加入したことのある年金制度』全てに○印をつけてください。
たとえば「誰かの扶養に入っていた」という方は、国民年金制度に加入していたことになるため国民年金法に○をつけます。
「M」履歴(※)
欄内に「氏名・捺印」をすることで省略することが可能です。
【注】履歴を省略するときは、全ての年金記録が正しいことが前提のため、今までの記録に誤っているなどの場合は別途手続きが必要ですので注意してください。
■きちんと記入したい方
省略せずに、きちんと記入した場合は、被保険者記録照会回答票をみながら書くのがおススメです。お近くの年金事務所で取得することが出来ます。
年金請求書(P.5)の書き方
「N」請求事由区分
障害年金を請求する方法には、大きく分けて3つの種類があります。
- 障害認定日による請求
- 事後重症による請求
- 初めて障害等級の1級または2級に該当したことによる請求
それぞれの請求の意味については、別途詳しくご説明しておりますのでご覧ください。
■ 1.障害認定日による請求
障害認定日(初診日から1年6月またはその前に症状固定に至った場合はその日)の障害状態で障害程度を審査希望するときは「1」を○で囲みます。
■ 2.事後重症請求
請求時点の障害状態のみで障害程度を審査希望するときは「2」を○で囲んでください。
「2」に当てはまるときは、理由欄が必須となります。「1.2.3」のいずれかを○で囲みましょう。
■ 3.初めて1・2級請求
複数の傷病の障害状態によって障害の程度が初めて2級以上に該当した、として年金請求をするときは「3」を○で囲んでください。
「O」過去の障害給付受給状況
過去に障害給付を受けたことがあるときは、その「名称」「年金証書の基礎年金番号・年金コード」を書きます。(平成6年法律改正前に3年失権した方が、その後症状悪化により請求する場合は必ず記入する必要があります)
「P」傷病に関する記入
気を付けるポイントが多いため、ひとつずつ詳しくご説明します。
■ 傷病名
- 「基本」:診断書に書いてある病名を記入します。
- 「初めて1級または2級」:それぞれの診断書に書いてある病名を記入します。
■ 傷病の発生した日
- 「”受診状況等証明書”や”診断書”に書いてある発生年月日」または「自覚症状がでた日」を書きます。
■ 初診日
- ”受診状況等証明書”に書いてある初診日を記入します。
■ 初診日において加入していた年金制度
- 初診日のときに”20歳未満”または”60歳以上65歳未満の厚生年金、共済年金に加入していない方”は、「1.未加入」に○をします。それ以外の方は、たとえ免除中であっても未加入ではありませんので気をつけてくださいね。
■ 現在、傷病が治っているか
- ここでいう「治った」は、『医学的にみてこれ以上の症状変化がない状態』に近い意味を指します。たとえば、うつ病などは改善または悪化する可能性もあるため「2.いいえ」に○をします。
「Q」業務上の障害であるか
「はい」を○で囲んだ場合は「給付の決定状況が分かる書類」の添付が必要となります。なお、請求中で添付できないときは、その旨を書いてください。
「R」障害の原因は第三者の行為であるか
第三者の行為と難しい表現になっていますが、つまり事故や傷害などによって障害を負った場合は『1.はい』に○印をします。
「生計維持証明」欄
加算の対象となる「配偶者・子」がいる場合は、記入が必要です。
■ 「S」生計同一関係
- 生計維持関係とは、生計(生活や家計など)を同じくしている関係のことを言います。
必ずしも同居している場合に限られません。たとえば別居していても、仕送りをしている場合などは「生計維持関係にある」と認められますので記入する必要があります。
■ 「T」収入関係
- 上記で、生計同一関係にある「配偶者・子」がいる方は必ず記入する必要があります。
年収について「はい・いいえ」のいずれかを○囲みしてください。※850万未満の場合には「はい」に○します。
【注】障害認定日時点の状況を書く必要があるため、認定日時点に「生計を同じくしているか」および「年収が850万未満か」を記入してください。
年金請求書(P.7)の書き方
「U」請求書
現在、基礎年金番号をもとに加入記録などを確認します。しかし過去の年金手帳をみると「今と基礎年金番号が違う」ということがあります。これは、これまで国民年金や厚生年金といったそれぞれの制度ごとに番号が付けれていた為です。
それぞれの番号を基礎年金番号に統合する作業が行われましたが、まだ紐づけ出来ていないことケースもあるため、念のためにも基礎年金番号と異なる記号・番号がある方は記入しましょう。
【注】過去の加入記録などは、それぞれきちんと管理されています。基礎年金番号への統合がされていないからといって、今後貰える年金額が減るなどはありません。
「V」配偶者
■ 「1」A欄で基礎年金番号等を記入していない
- p.1のA欄で、配偶者の基礎年金番号などを書いていない方は必須項目となります。
■ 「2」あなたと配偶者の住所が違う
- 配偶者と住所を分けている場合、必須項目となります。
「W」第4種被保険者、船員保険の年金任意継続被保険者
■ 第4種被保険者とは
- 旧厚生年金保険法にあった「一定の要件を満たせば、会社などを辞めてたあと、任意で厚生年金に加入が続けられる」制度です。
昭和61年には廃止されており、現在はありません。
■ 船員保険の年金任意継続被保険者とは
- 船員保険は、船員法などに定められた「船舶内で仕事をする方」が加入していた制度です。
船員保険独自の制度であり、現在は一部の給付金を除き他の制度に統合され廃止されています。
旧船員保険法には、「船員を辞めたあとも一定の要件を満たせば船員保険に加入し続けられる」年金任意継続制度が認められていましたが、他の制度と統合後は経過措置を経て廃止となっています。
書き間違えや印鑑の種類は?
案外書く項目が多い年金請求書ですが、その他に注意する点などはあるのでしょうか。
よくある質問から「疑問点」を解決していきます。
書き間違えたときの対処法
書き間違えてしまった場合は、二重線で訂正のうえ、印鑑を押印すればOKです。
一から書き直す必要はありませんので、もし間違えたら・・・とドキドキせずに済み安心ですね。
印鑑は実印?認印?
印鑑を押印する部分がいくつかありますが、そのとき使用する印鑑は”認印”でOKです。
実印(市区町村などに実印登録している印鑑)を押印しても構いませんが、100円ショップなどで買った印鑑でも十分です。
なお、シャチハタはスタンプに分類されるため、朱肉をつけてタイプのものを使用してくださいね。
記入は油性ボールペン
記入するときは油性のボールペンを使用するようにしましょう。
消せるタイプのペンや水性ペンはNGです。文字が消えてしまう可能性がありますので避けてください。
代筆でもOK
自分で書くのが難しい場合は、代筆して記入してもらってもOKです。
代筆の場合は、署名(自分の氏名)欄に捺印が必要となります。
手書き以外でもOK
日本年金機構のHPから年金請求書(PDF)をダウンロードすることができます。
ダウンロードした請求書をパソコンなどで印字することも認められています。
ダウンロードした年金請求書の使用
ダウンロードした年金請求書の場合は、用紙が複数枚に渡る可能性があります。複数枚に渡る場合は、まとめてホッチキ止めをしたうえ、各ページの間に割り印を押印しましょう。
もし書類に不備があっらどうなる?
年金請求書は、最終的に年金事務所(または市区町村役場)に提出します。
提出しにいくと、窓口の方が年金請求書に目を通し不備がないかチェックしてくれます。
もし書き方間違いや記入漏れなどの不備があった場合は、その場で訂正等できるのであれば指導して貰えます。
その場での訂正等が難しい場合は、その日は受け付けてもらえません。後日訂正等のうえ再度提出しに行きます。
まとめ
以上が障害基礎年金用の年金請求書の書き方です。
ここはどうやって書けばいいのかわからない・書く必要があるのか心配という場合は、各年金事務所などで教えてもらうこともできます。
年金事務所などへ行くときは、すぐに訂正などができるように「必ず印鑑を持参」するようにしてくださいね。
もちろん当事務所でもご相談を受け付けていますので、困ったときはぜひ相談してください。