音声又は言語機能の障害については次の基準によって障害等級を決定します。

音声又は言語機能の障害とは?

音声又は言語機能の障害とは、発音に関わる機能又は音声言語の理解と表出に関わる機能の障害をいい、構音障害又は音声障害(以下ア)失語症及び聴覚障害による障害(以下イウ)が含まれます。

ア)構音障害又は音声障害

構音障害又は音声障害とは歯、顎、口腔(舌、口唇、口蓋等)、咽頭、喉頭、気管等の発声器官の形態異常や運動機能障害により、発音に関わる機能に障害が生じた状態のものをいいます。

※歯のみの障害による場合は、入れ歯や差し歯などの補綴(ほてつ)等の治療を行った結果により認定を行います。

なお、発音不能な語音について確認するほか、発音に関する検査(例えば「語音発語明瞭度検査」など)が行われた場合は、その結果も障害年金の審査の参考とされます。

イ)失語症

失語症とは大脳の言語野の後天性脳損傷(脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷や脳炎など)により、一旦獲得された言語機能に障害が生じた状態のものをいいます。

失語症については、音声言語の障害(話す・聞く)の程度について確認するほか、失語症に関する検査(例えば「標準失語症検査」等)が行われた場合はその結果も障害年金の参考とされます。

なお失語症が、音声言語の障害と比較して、文字言語の障害(読み書き)の程度が重い場合には、その症状も考慮して認定するとされています。

ウ)聴覚障害による障害

聴覚障害による障害とは先天的な聴覚障害により音声言語の表出ができないものや、中途の聴覚障害によって発音に障害が生じた状態のものをいいます。

なお、発音不能な語音について確認するほか、発音に関する検査(例えば「語音発語明瞭度検査」など)が行われた場合は、その結果も障害年金の審査の参考とされます。

喉頭全摘出手術を施した場合の取り扱いについて

喉頭全摘出手術を施したものについては、原則として次にように取り扱われます。

ア)手術を施した結果、発音に関わる機能を喪失したものについては、2級と認定する。
イ)障害の程度を認定する時期(障害認定日)は、喉頭全摘出手術を施した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。

高次脳機能障害による失語症の取り扱いについて

高次脳機能障害とは交通事故や脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)が原因で脳が損傷を受ける事により認知能力が低下する精神障害をいいます。
この障害の主な症状としては、失語、失行、失認、遂行機能障害、社会的行動障害、記憶障害、注意障害などがあるといわれています。

なお、高次脳機能障害で障害年金を申請する場合は、言語以外の症状については「精神の障害」として判断し、失語に関しては「言語機能の障害」で判断し両者の等級を併合するものとされています。

高次脳機能障害での申請の際には診断書のモレが無いように慎重に準備をしましょう。

障害等級の認定基準

音声又は言語機能の障害による障害の程度は、次の表に照らし合わせて認定されます。

2級
①発音に関わる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しないもの

②喉頭全摘出手術を施した結果、発音に関わる機能を喪失したもの

3級
話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に多くの制限があるため、日常会話が、互いに内容を推論したり、たずねたり、見当をつけることなどで部分的に成り立つもの

障害手当金
話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に一定の制限があるものの、日常会話が、互いに確認することなどで、ある程度成り立つもの

構音障害、音声障害又は聴覚障害による障害については、発音不能な語音を評価の参考とする。発音不能な語音は、次の4種について確認するほか、語音発語明瞭度検査等が行われた場合はその結果を確認する。

ア 口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音等)
イ 歯音、歯茎音(さ行、た行、ら行等)
ウ 歯茎硬口蓋音(しゃ、ちゃ、じゃ等)

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