精神の障害用診断書の裏面には「日常生活能力の判定」を記入欄があります。

「日常生活欄をチェック!」

この評価は、審査結果に大きく関わるためとても重要な部分です。

皆さんこの「日常生活能力の判定欄」にはおおよその基準があることをご存知でだったしょうか?

じつはあまり知られておらず、診断書を作成する医師でさえご存知ない方もいらっしゃいます。

「知らなくてもいいや」と思っているあなた!評価方法が適切でないと、病状が診断書に反映されないのです!

よって、ここでは日常能力の判定欄の基準を詳しく解説していきます!

下記には1~7項目のそれぞれの具体例を記載していきますので、ぜひ参考にしてください。

 

(1)適切な食事

適切な食事とは「配膳などの準備も含めて適量をバランスよく摂ることがほぼできる」などをいいます。

具体的な例は以下のとおりです。

(1)適切な食事の評価方法
できる  栄養のバランスを考え適量の食事を適時にとることができる。
自発的にできるが時には援助や指導を必要とする だいたいは自主的に適量の食事を栄養バランスを考え適時にとることができるが、時に食事内容が貧しかったり不規則になったりするため、家族や施設からの提供、助言や指導を必要とする場合がある
自発的かつ適切に行うことはできないが援助や指導があればできる 1人では、いつも同じものばかりを食べたり、食事内容が極端に貧しかったり、いつも過食になったり、不規則になったりするため、経常的な助言や指導を必要とする
助言や指導をしてもできない若しくは行わない 常に食事へ目を配っておかないと不食、偏食、過食などにより健康を害するほど適切でない食行動になるため、常時の援助が必要である
年子先生
拒食症や過食症をもって「食べられない」とは評価しません。

(2)身辺の清潔保持

身辺の清潔保持とは「洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替えなどができる・自室の清掃や片付けができる」などをいいます。

具体的な例は以下のとおりです。

(2)身辺の清潔保持の評価方法
できる 洗面、整髪、ひげ剃り、入浴、着替え等の身辺の清潔を保つことが自主的に問題なく行える。必要に応じて、自主的に掃除や片付けができる。またTPOに合った服装ができる。
自発的にできるが時には援助や指導を必要とする 身体の清潔を保つことが、ある程度自主的に行える。回数は少ないが、だいたい自室の清掃や片付けが自主的に行える。身体の清掃を保つためには、週1回程度の助言や指導を必要とする。
自発的かつ適切に行うことはできないが援助や指導があればできる 身体の清掃を保つためには、経常的な助言や指導を必要とする。自室の清掃や片付けを自主的にはせず、いつも部屋が乱雑になるため、経常的な助言や指導を必要とする。
助言や指導をしてもできない若しくは行わない 常時支援をしても身体の清潔を保つことができなかったり、自室の清掃や片付けをしないか、できない。

(3)金銭管理と買い物

「金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。また一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできる」などをいいます。

具体的には以下のとおりです。

(3)金銭管理と買い物の評価方法
できる 金銭を独力で適切に管理し、1ヵ月程度のやりくりが自分でできる。また1人で自主的に計画的な買い物ができる。
おおむねできるが時には助言や指導を必要とする 1週間程度のやりくりはだいたい自分でできるが、時に収入を超える出費をしてしまうため、時として助言や指導を必要とする。 
助言や指導があればできる 1人では金銭の管理が難しいため、3~4日に一度手渡して買い物に付き合うなど、経常的な援助を必要とする。 
助言や指導をしてもできない若しくは行わない 持っているお金をすぐに使ってしまうなど、金銭の管理が自分ではできない、あるいは行おうとしない。 
年子先生
行為嗜癖に属する浪費や教学的消費行動については、ここでは評価しません。

(4)通院と服薬

通院と服薬とは「規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができる」などをいいます。

具体的には以下のとおりです。

(4)通院と服薬の評価方法
できる  通院や服薬の必要性を理解し、自発的かつ規則的に通院・服薬ができる。また症状や副作用について主治医に伝えることができる。
おおむねできるが時には助言や指導を必要とする 自発的な通院・服薬はできるものの、時に病院に行かなかったり、薬の飲み忘れがあるので、助言や指導を必要とする。 
助言や指導があればできる 飲み忘れや飲み方の間違い、拒薬、大量服薬をすることがしばしばあるため、経常的な援助を必要とする。 
助言や指導をしてもできない若しくは行わない 常時の援助をしても通院・服薬をしないか、できない。 

(5)他人との意思疎通及び対人関係

他人との意思疎通及び対人関係とは「他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行える」などをいいます。

具体的には以下のとおりです。

(5)他人との意思疎通及び対人関係の評価方法 
 1 できる  近所、仕事場等で、挨拶など最低限の人づきあいが自主的に問題なくできる。必要に応じて、誰に対しても自分から話せる。友人を自分からつくり継続して付き合うことができる。
おおむねできるが時には助言や指導を必要とする 最低限の人づきあいができるものの、コミュニケーションが挨拶や事務的なことにとどまりがちで、友人を自分からつくり継続して付き合うには、時として助言や指導を必要とする。あるいは他社の行動に合わせられず、助言が無ければ、周囲に配慮を欠いた行動をとることがある。 
助言や指導があればできる 他社とのコミュニケーションがほとんどできず、近所や集団から孤立しがちである。友人を自分からつくり継続して付き合うことができず、あるいは周囲への配慮を欠いた行動がたびたびあるため、助言や指導を必要とする。 
助言や指導をしてもできない若しくは行わない 助言や指導をしても他社とのコミュニケーションができないか、あるいはしようとしない。また、隣近所・集団との付き合い・他社との協調性がみられず、友人等との付き合いがほとんどなく、孤立している。 
年子先生
とくに1対1や集団の場面で、他人との話を聞いたり、自分の意思を相手に伝えたりするコミュニケーション能力や他人と適切につきあう能力に着目して評価します。

(6)身辺の安全保持及び危機対応

身辺の安全保持及び危機対応とは「事故等の危険から身を守る能力がある。通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適切に対応することできる」などをいいます。

具体的には以下のとおりです。

(6)身辺の安全保持及び危機対応の評価方法 
できる 道具や乗り物などの危険性を理解・認識しており、事故等がないよう適切な使い方・利用ができる。また通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めたり指導に従って行動するなど、適切に対応することができる。
おおむねできるが時には助言や指導を必要とする 道具や乗り物などの危険性を理解・認識しているが、時々適切な使い方・利用ができないことがある。また通常と異なる事態となった時に、他人に援助を求めたり指示に従って行動できない時がある。 
助言や指導があればできる 道具や乗り物などの危険性を十分に理解・認識できておらず、それらの使用・利用において、危険に注意を払うことができなかったり、頻回に忘れてしまう。また通常と異なる事態となった時に、パニックになったり、他人に援助を求めたり、指示に従って行動するなど、適切に対応することができないことが多い。 
助言や指導をしてもできない若しくは行わない 道具や乗り物などの危険性を十分に理解・認識できておらず、周囲の助言や指導があっても、適切な使い方・利用ができない。あるいはしようとしない。また通常と異なる事態となった時に、他人に援助を求めたり、指示に従って行動するなど、適切に対応することができない。 
年子先生
ここでは自傷行為や他害行為は評価しません。⑩障害の状態ア欄・イ欄に記入してもらいましょう

(7)社会性

社会性とは「銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また社会生活に必要な手続きが行える」などいいます。

具体的には以下のとおりです。

(7)社会性の評価方法
できる 社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用にあたって、基本的なルールを理解し、周囲の状況に合わせて適切に行動できる。
おおむねできるが時には助言や指導を必要とする 社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用にあたって、習慣化されたものであれば、各々の目的や基本的なルール、周囲に合わせた行動がおおむねできる。だが、急にルールが変わったりすると、適切に対応することできないことがある。 
助言や指導があればできる 社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用にあたって、各々の目的や基本的なルールの理解が不十分であり、経常的な助言や指導がなければ、ルールを守り、周囲の状況に合わせた行動ができない。 
助言や指導をしてもできない若しくは行わない 社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用にあたって、その目的や基本的なルールを理解できない。あるいはしようとしない。そのため、助言・指導などの支援をしても、適切な行動ができない。あるいはしようとしない。 

参考資料

上記の評価方法は、厚生労働省・日本年金機構より発行の医師向け記載要領に掲載されています。

さらに詳しい内容をご覧になりたい方は⇒<障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領>をチャックしてください。