病気や事故などが原因で排泄(排尿、排便)に障害が有る場合、手術でお腹に空けた人工的な排泄口をストーマといいます。

ストーマには人工肛門や人工膀胱といったものがあり、この手術を受けた人を『オストメイト』と呼びます。

これらストーマも基準を満たす事ができれば障害年金の受給が見込まれます。

障害年金では、制度を知らない、働いているので諦めていたといった理由で本来受給出来るにも関わらず受給が出来ていない方が多くおられます。

そこで人工肛門や人工膀胱と障害年金との関係を分かりやすく解説します!

ストーマの種類は?

人工肛門(消化管ストーマ)

人工肛門とは、大腸や肛門の病気を治療するために、手術により人工的に空けたお腹の排泄口をいいます。
普段はストーマ用の装具(パウチ)をお腹に貼っておき、そこに便を溜めておきます。

人工肛門には大きく小腸ストーマ(イレオストミー)と結腸ストーマ(コロストミー)があります。

主な原因としては大腸がん、直腸がん、小腸がん、肛門がん、大腸ポリープ、クローン病、直腸腫瘍、直腸潰瘍、潰瘍性大腸炎などがあげられます。

尿路変更(尿路ストーマ)

腎臓で造られた尿を体外に出す尿路の機能に障害がある場合に用いられる治療法をいいます。

手術後はお腹に人工的に空けた排泄口を使って排尿を行うこととなります。

主な原因としては膀胱がん、尿道がん、前立腺がん、子宮がん、尿路結核、膀胱結核などがあげられます。

新膀胱

人工膀胱のひとつで正式名称を自排尿型人工膀胱といいます。

ご自身の腸などを使って、人工的に新しい膀胱を作るという治療法です。

上記の人工肛門や尿路変更と比べてストーマが無いというのが大きな特徴です。そのため、新膀胱の手術を行ってもオスメイトとはされないようです。

ストーマなどによる障害年金の基準は?

ガイドラインで変わること
人工肛門、尿路変更、新膀胱のいずれかに該当する場合は原則として障害年金3級と認定されます。

そのため、初診日の時点で厚生年金又は共済年金に加入している事が重要となります!

ただし、病気によっては人工肛門に加えて新膀胱、尿路変更などの複数の手術を行う事があります。その場合は障害年金2級に該当しますので初診日が国民年金の方でも忘れずに申請を行いましょう!

障害年金2級に該当するパターン

人工肛門の手術に加えて以下に該当した場合は障害年金2級が支給される事となります。

つまり、初診日が国民年金、主婦、20歳前であっても障害年金を受給する事が可能となるのです!

なお、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等により総合的に判断し、さらに上位等級に認定されることもあります。

(ア) 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの又は尿路変更術を施したもの


人工肛門&新膀胱または人工肛門&尿路変更術のいずれかに該当する場合は障害年金2級と認定されます。

(イ)人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの


人工肛門の手術に加えてカテーテルを用いた排尿が必要な状態の場合は障害年金2級と認定されます。

 障害年金を申請するタイミングはいつ(障害認定日)?

不支給になった場合の対処法
原則的には障害年金を申請するタイミングは、その病気で初めて病院へ行った日(初診日)から1年6ヶ月(障害認定日)以降となります。

しかし、人工肛門や人工膀胱(新膀胱、尿路変更)の場合は少し異なります。

ご自身のパターンが以下のいずれに該当するかを確認し、申請にお役立てください。

初診日から1年6ヶ月以降に手術を行ったケース


初診日から1年6ヶ月以降に人工肛門や人工膀胱(新膀胱、尿路変更)の手術を行った場合は、手術後であればいつでも申請を行う事が可能となります。
このケースでは、申請が1ヶ月遅れたびに、過去の障害年金が消えて行きますので遅滞なく申請するようにしましょう。

初診日から1年6ヶ月以内に手術を行ったケース

初診日から1年6ヶ月内に人工肛門や人工膀胱(新膀胱、尿路変更)の手術を行った場合の申請時期(認定日)は手術のタイミング・種類や組み合わせにより異なります。それぞれのタイプ別に以下の通りご説明させて頂きます。

人工肛門または尿路変更

初診日から1年6ヶ月以内に人工肛門または尿路変更の手術を行った場合は以下の(A)(B)のいずれか早い日が障害認定日となり、それ以降であれば障害年金の請求が可能となります。

(A)手術を行った日から6ヶ月が経過した日

(B)初診日から1年6ヶ月が経過した日

新膀胱

初診日から1年6ヶ月以内に新膀胱の手術を行った場合、手術の日以降に申請が可能となります。

人工肛門+新膀胱

人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設した場合は、人工肛門を造設した日から起算して6月を経過した日又は新膀胱を造設した日のいずれか遅い日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。

人工肛門+尿路変更術

人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施した場合は、それらを行った日のいずれか遅い日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。

人工肛門+完全排尿状態

人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態にある場合は、人工肛門を造設した日又は完全排尿障害状態に至った日のいずれか遅い日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。

 

人工肛門の障害年金申請に関するよくある質問

 

Q.障害者手帳との関係を教えてください

身体障がい者(児)福祉法によると人工肛門や人工膀胱といった永久的なストーマの造設者に対しては身体障がい者として認定され、身体障がい者手帳が受けられます。
また、装具の給付や税の減額・免除などの擁護措置がありますのでストーマの造設が決定した時点でお住まいの市町村へとご相談をオススメします。

 

Q.就労と障害年金の関係を教えてください

よくある誤解として「働いていては障害年金はもらえない」といった誤解があります。

障害の種類によっては就労条件が障害年金の要件となっている場合もございます。

人工肛門などのストーマでの障害年金には就労は特に問題とされていません。

当事務所でサポートさせて頂いたご相談者の中でも就労しながら受給されている方も多くおられます。

 

Q.家から出られないのですがサポートは可能ですか?

もちろん対応可能となります!
当事務所では各障害に合わせたサポートを大切にしております。
webを用いたオンライン面談により全国幅広く対応しております。

□遠隔地だけど相談したい
□家から出られないけど相談に乗ってほしい
□時間調整が難しい

などなど、当てはまる方がおられましたらお気軽にお問合せください。

年子先生
遠隔対応は『ストーマによる障害年金のオンラインサポート』をご覧ください。

障害年金の申請の流れ

障害年金を申請するには、多くの作業があります。
大きな流れとしては以下のとおりです。

年子先生
申請までの流れをさらに詳しく知りたい方は、こちらの『障害年金の申請までの流れ』をご覧ください!

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

人工肛門や人工膀胱(新膀胱、尿路変更)の手術を行った場合、術後はパウチの使用などに手間取ることがありますが、慣れてくると日常生活には、さほど支障なく過ごせている方が多くおられます。
そのような場合、手術前と同様にフルタイムで就労している為、障害年金は受給出来ないとあきらめているケースがあります。
人工肛門や人工膀胱(新膀胱、尿路変更)の場合、条件に該当すれば就労状況には関係無く受給する事ができます。

ご不明点などがありましたら経験豊富な専門化への相談をオススメします。

参考資料

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